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コラム 〜お隣の国では..〜 第9話 「誕生日の味 」



誕生日の味
  私事ですが、近々誕生日を迎えます。また、ひとつ年をとってしまうのかと、そんなことを思うような年齢になってしまいました。

さて、誕生日を迎えるたびに思いだすことがあります。
それは、誕生日ごとに決まって、ある食べ物を採っていたということ…。

私が韓国に住んでいた時、誕生日だからとお祝いの席で必ず出された食べ物がありました。ふと、今でも思いだしたりするのですが、では、ここで問題です。いったいそれは何でしょう?

バースディケーキ?いえいえ、答えは、なんと、ワカメスープ。
なぜ、そんなものが出てくるのか、私も最初は不思議に思いました。

もちろん、ケーキに年の数だけろうそくを立てて炎を吹き消すお決まりのお祝いも行います。しかし、なんといっても、ワカメスープは定番中の定番のようで、老若男女、皆これを摂る習慣があるようです。

それにしても、どうして誕生日にワカメスープなのでしょう?
韓国では、妊産婦の栄養補給にワカメスープを摂る習慣があります。
それは、ワカメに含まれるミネラル成分が、弱った体にいいということからで、とにかく飽きるほどワカメスープを摂らされるそうです。

つまり、ワカメスープは、子供を産んだ母親の滋養食品というわけで、では、では、どうして、妊婦さんの食べ物を、誕生日を迎えた人が摂るのでしょうか?

そこには、ワカメスープ=母=産みの苦しみ。という考えがあるようです。
つまりは、自分の産まれた日に、自分を産んでもらったということを考えましょう。そう、命の重み、人間の原点を考えるべしという教訓めいた思いがあります。

自分が今あるのは、母親の産みの苦しみがあったからで、誕生日に飲むワカメスープには、自分を産だ母親も同じものを飲んでいたのだという熱い思いが隠されているわけです。 確かに、自分一人でこの世に産まれてきたわけではありません。

たくさんの人々の祝福を受けここに今があるわけで、ともかく、つい忘れがちな感謝の気持ちを、誕生日ごとに思いだしましょうといったこの習慣。

なるほどな、と考えさせられたものです。 皆さんも、誕生日には自分が産まれた意味を考えみてはいかがでしょう。両親も含め先人たちの英知というものを見つめてみるのも悪くはないでしょう。

とはいえ、最近の大人たちは、児童虐待などと大切な小さな命を簡単に扱いすぎています。果たして、ワカメスープが必要なのは、大人たちなのかもしれませんね。

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